NPO法人 日本似顔絵アーティスト協会

Member Interview vol.5


Member Interview vol.5

『谷純一さん』

(聞き手・Kage)

全国各地で活躍する、
日本似顔絵アーティスト協会の皆様の、
多種多様な考えや働き方をご紹介する、
Member Interview。

第5回は谷純一さんに、ご登場頂きました!

25周年を迎えたISCA世界大会、終了後すぐにインタビューをさせて頂きました。

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―谷さん、お疲れの所、ご協力ありがとうございます。
大会どうでしたか?

実は飛行機のエンジントラブルがあって、到着が10時間遅れました。。遅れなければ、もっと枚数いけたんですけど(笑)、でもかえって最初から追い込みが出来たので、練習してきた通りに、枚数以外はいけました(笑)。

―それはお疲れ様でした。。ではそんな中、恐縮ですがインタビューをさせて頂きます。
谷さんは、福井県で活動されていますが、似顔絵を始めたきっかけを是非、教えて下さい。

僕のきっかけはKageさんです。もともと絵は好きで、会社員の頃から仕事を終えると、写真から肖像画のような絵を描いていました。ある時に画材屋の社長と知り合って、色々な絵描きさんをご紹介して頂いて、自分の絵を見て頂いたのですが、独学なので基礎がないと言われました。そこで本などから勉強してきたのですが、なんだか楽しくなくなってきてしまいました。
なぜあんなに絵を描くことが楽しかったのか、そう考えた時、学生時代に先生の顔を面白おかしく描いていた日の事を思い出しました。それで似顔絵をキーワードに、ネットで色々と調べてみましたそこで見つけたのが、Kageさんでした。

―ありがとうございます(笑)

僕はKageさんの絵柄やラインクオリティの高さ、それから描写が繊細なところが好きです。初めて見た時はただただスゴイなと思いました。

―そこからどうやって仕事にされたのですか?

地元である福井に、そういえば似顔絵描きさんがいたな、と思い出しました。タジーさん(*1)です。すぐにタジーさんを訪ねて行き、その後、地元の商業施設「エルパ」で、タジーさんの横で描き始めました。

(*1)タジーさん→田島マサヒロさん

―描き始めた時はどうでした?

いやぁ、緊張で手が震えました。でも練習はメチャメチャしてました。会社員時代にも机を自分で作って、昼休みには同僚を並べて描いていました。

―谷さんはご自身のスタジオをお持ちでいらっしゃいますよね。

そうなんです。2014年にスタジオをオープンしました。スタジオでライブスケッチやご注文を頂いて作画しています。
ハッキリ言って、スタジオは無くても良かったのですが、それを作ることで企業と仕事が出来ると思ったのと、お客さんにも安心してもらえると思いました。後は、もともと建設業界にいたこともあって、様々な職種の経営者とお付き合いがありました。
たくさんのアドバイスを頂いてきた中で、所在をしっかりとさせた方がいいと言われたことも、スタジオを作ろうと決めた理由の一つです。自分に対して、まず場所を作って、そこから気持ちを込めて前へ進んでいこうと決めました。その際に、カリカチュアジャパンのお店を参考にしています。

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―谷さんの作風はカラーリングにとても厚みを感じます。
どのような絵を目指しているのですか?

似顔絵を始める前はルノアールが好きでした。ルノアールの作品はモデルの「らしさ」が出ていて、優しさを感じます。カリカチュアにも同様のものを感じます。自分の作風はまだまだ模索中なのですが、心掛けているのはやはり「らしさ」を出すことです。塗りの厚みは、引き算が苦手で、ついつい足していってしまいます(笑)。

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―影響を受けたアーティストはいますか?

KageさんとNate(*2)です。Kageさんは、絵に対する純粋さが好きです。2012年にカリカチュアフェスタに参加しました。初めてお会いした時は「あっ、Kageさんだぁ」と思いました。英語を喋ってたせいか少し遠く感じました。あと目つきが鋭かったです(笑)。
作風に関しては表情だったり動きだったり、表現が非常に細かいなぁと感じますね。相手を思って、相手のらしさを引き出していると感じます。
Nateも、絵に対して純粋な人だと思います。そんなふうに描けたらいいな、と思うアーティストです。Nateのライブスケッチが特に好きで、人も犬もここまで崩すのかと感心します。崩していても温かみを感じるのは、根底に優しさがあるからだと思います。あそこまで表現は出来ないですね。

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Nate氏(右)と谷純一さん。

(*2)Nate Kapnicky :アメリカの似顔絵アーティスト。

―そういう意味では、谷さんこそ純粋ですよね。真っ直ぐで近道をしない描き方は、職人そのものです。この仕事をしていて印象的な事はありますか?

今まで人に何かをしてさし上げるということが一度もなかったんですよ。正直、 32、3まで感謝のない人間でした。恥ずかしい話です。でも今は好きな絵で、人と出会って、人のことをよく見て、その人のらしさを表現して、喜んでもらえて。お金を頂けて、それで生活が出来ている。本当に色んな人に感謝です。自分が好きな絵を通して、こんな僕が人の役に立てることが嬉しい。

―良い話ですね。。。
そんな谷さんの将来の夢があれば、教えて下さい。

地元の福井県にいて、ここで仕事をさせてもらってるので、世界一の絵描きになって、僕の作品に名前がつけば、色々迷惑をかけたこの街の役にもっと立てるかもしれない。僕はそんな存在になりたいです。

―最後に、協会に期待することがあれば聞かせて下さい。

毎月のコンテストによって、絵がすごく上達します。あのような、もっと気軽に参加できて、皆が活躍できる場を、今後もどんどん創ってほしいです。特に僕らは地方なので、東京の方々と交流をしたいけれども、機会は限られています。ああいう場は、たくさん影響を受けられるし、勉強になります。実際、コンテストの上位入賞されてる方々は、大会でも活躍しています。出来たらそういう人たちの作画工程とかも見てみたいです。もし映像などで見れたら嬉しいです。

―谷さん、今日はありがとうございました。

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【プロフィール】

谷 純一

1979年 福井県生まれ
2011年 似顔絵師タジー氏と出会う
2012年 ISCAテキサス大会出場。 似顔絵師として独立。「笑っていいとも」似顔絵コンテスト優勝
2013年 ISCA韓国大会出場。総合3位、作品賞7位、ソウル市スケッチ7位
2014年 ISCAテキサス大会出場。モンキーマジックスタジオ設立
2016年 ISCAアリゾナ大会出場。カラーリングテクニック部門2位