Member Interview vol.18
『Chinamiさん』
(聞き手:Kage)
全国各地で活躍する
日本全国の似顔絵アーティスト協会の皆さまの
多種多様な考えや働き方をご紹介する、
Member Interview。
(コロナ禍でなかなか対面でお会いできなかったこともあり、しばらく連載を休止しておりましたがこの度再開しました。)
今回は、羊毛フェルトで立体似顔絵を作られている、Chinamiさん(写真左)にご登場頂きました。
―(Kage)日本大会、大変お疲れさまでした!
また人生初の1等賞(作品部門優勝)、おめでとうございます!
(Chinamiさん)
ありがとうございます!
今回、スタジオピースと白黒部門を目指していたので、メッチャ嬉しかったです!
―日本大会は初出場?
オンライン(2021年7月)でありました。
―実際の大会はいかがでしたか?
会場に入った瞬間、知り合いの顔がたくさん見えてホッとしました!(笑)
アメリカの世界大会の時はもう、恐怖でしかなかったので。
仲間のお陰で、余分な肩の力が抜けました。
それからインスタでは繋がっているけど会ったことのない、会いたかった人たちと会えて、すごく嬉しかったです。
―絵を描く仕事って孤独だから、こうして知り合いがいる、仲間が増えるって、大会の醍醐味ですよね。
本当そう思います。
―Chinamiさんはいつから絵を描いているのですか?
絵は昔から好きで、子供の頃はお絵描き教室に通っていました。
この頃から絵を描くことと同じくらい物を作ることが好きでした。大学は美大に進みました。専攻は彫刻です。
ところが…ここで挫折を経験しました。
―挫折? どんな?
私はリアルな表現が得意でした。芸大の受験も「デッサン」だけは通ったくらい、ソックリな表現にはある程度自信がありました。ところが入学後に、ただ良いものを作るだけではなかなか評価にならないことに気づきました。
少し抽象的な表現があったり、面白い発想だったり、そういうものが評価されるように感じました。私も色々試したのですがしっくり来なくて。また「面白くない」と言われるのが怖くて。
描くことはもちろん、学校にもいけなくなってしまったんです。
―そんなことがあったんですね。
でもリアルのしっかりとした基礎があるから、現在の立体が作れるんですよね。
はい。大学の卒業制作もやっぱりリアルな裸婦像でした。
ギリギリの卒業でしたけど…。
―卒業後はどんなお仕事をされたんですか?
それが大学4年で子供を授かりまして23歳で結婚しました。
―そうなんですか! ピンク色の髪の毛のママ!
今16歳の男の子ですが、1ミリも私の絵を評価していないんです。
バカにされています。(笑)
―そんなことないですよ(笑)、照れ隠しです!
息子さんもきっと自分がやりたいことを見つけて、そこに進んだ時に、ママの凄さが分かると思います!
分かりますかねぇ?でも、日本大会でみやぐちさんに描いてもらった私の絵を見て、初めて「俺も描いてもらいたい!」って言ったんですよ。
―それは良かったですね! みやぐちさんの功績はデカイ!
絵を見てあんな興奮してるの初めて見ました!
―似顔絵を始めたのはいつですか?
私、人形が先なんですよ。姉がカフェをオープンしたので、お祝いに当時流行っていた羊毛フェルトを使って、姉の人形をプレゼントしたんです。
そうしたら、それを見たというお客様から結婚をするので作ってほしいと頼まれて作りました。今度は結婚式でそれを見たという方から依頼を受けて…そんな不思議なご縁が繋がって仕事になっていきました。
―人形を作るのと紙に描くのだと、だいぶ違いますよね?
もう最初は何回も辞めたいと思いました!
似顔絵の勉強をしたことがないので、デッサンをもとにした写実しか出来ないし、レジのお金は合わないし。皆に迷惑をかけまくりました。
それで初めて名古屋で行われていた勉強会に参加したんです。どなたも存じ上げなかったのですが、皆さんの作品に圧倒されました。
―ちなみさんは常にチャレンジャーですよね。「怖い!」と言いながら、いつもニコニコと挑戦を楽しんでいる印象です。
極めつけはISCAの世界大会ですよ。みんな行きたいと言う。でも実際は難しい。だから行けない。そういう人が大半の中で、クラウド•ファンディングで想いを伝えて、資金を集めて挑戦しちゃう、なんて本当にスゴイ!
2021年にオンラインで参加した時、朝から晩まで没頭して、あまりに楽し過ぎて。でも周囲からは現地に行ったらもっと楽しいと聞いて…お金ないから行けるわけないって思ってんですけど…そうだ!クラファンがある!って気づいたんです。
―僕もクラファンやったことあるんですけど、結構大変でしょう?
支援して下さった方たちは全員知り合いでした。滑り出しは良かったんですけど、途中からピタリと止まってしまって。これはもう頼むしかないと思って…順番に友達らに連絡しました。
「気分悪くしないで聞いてね」とか「興味無ければスルーしてもらって構わないから」と言って。集まった時は涙が出ました、皆さんの想いが集まったと思って。なんとか達成しました。
―ちなみさんのその想いや行動力は本当スゴイですよ。
ISCAでも、朝から夜までほとんど寝ないで、会場の床を削りカスだらけにして。(笑)
見事立体部門で準優勝しました!
皆さんに褒めて頂いたけど、悔しかった。
ホームページに2位とか6位しかなくて。どうしてもひとつ、1位が欲しかったんです。
―想いが通じたんだなぁ。改めて、おめでとうございます!
最後に今後の夢や目標があれば、聞かせて下さい。
直近では、国画会が主催する「国展」に半立体の作品を出品します。
幼稚園から通っていた絵画教室の、94歳の先生に再び教えて頂いています。先生は「見る人に伝わるもの、訴えるものがないといけない」と仰います。
世界大会で見た素晴らしい作品には、「似てる」、「面白い」以上のものがありました。そんな、社会に訴えられるような、作品を作れるようになりたいです。
あと福祉の活動にも興味があるので、世の中のためになることをしたいです。
―遅咲きのピンク色がまさに花満開!ですね。
今日は素敵なお話をありがとうございました。
ありがとうございました!
*****************************************
◆Chinamiさんプロフィール
フェルトドール似顔絵作家
京都芸術大学 彫刻コ―ス卒業
人体塑像を学び、本人そっくりのフェルトドールを作り始める
似顔絵師、彫刻アーティストとして活動
◆受賞歴
2017年似顔絵全国大会竜王賞6位
2019年似顔絵さんぷらざ杯準優勝
2021年日本似顔絵アーティスト協会主催
JAPAN MINI CON サプライズ賞3位
2021年ISCA似顔絵世界大会3D部門2位
2022年ISCA似顔絵世界大会3D部門2位
2023年JAPAN GRAND PRIXスタジオ作品部門1位
2023年JAPAN GRAND PRIX白黒部門2位
◆ホームページ
http://www.instagram.com/chinaminato/
*****************************************
「Member Interview」の過去記事はこちらからご覧いただけます。
https://nigaoe-artist.com/category/member-interview/