Member Interview vol.26

■Member Interview vol.26

松岡優香さん』
(聞き手:Kage)

全国各地で活躍する、
日本似顔絵アーティスト協会の皆様の
多種多様な考えや働き方をご紹介するMember Interview。

今回はカリカチュア・ジャパン株式会社でソラマチ店店長として活躍され、2025年ISCAの世界大会で大活躍された松岡優香さんにご登場頂きました!

―(Kage)この度はISCAでのCaricature of the Year(作品部門)優勝をはじめ、多くの受賞、おめでとうございます!松岡さんは、プロのキャリアがまだ3年目。世界大会はたったの2回。この実績はスゴ過ぎですよ!

M:ありがとうございます!

―松岡さんは、いつも誰よりも大会を楽しんでいるように見えますが、あまり緊張はしませんか?

M:正直、初出場の時はかなりプレッシャーを感じていました。ただ、2回目以降はあまり感じなくなりました。というのも、会場全体がとても和気あいあいとしていて、楽しい雰囲気に包まれているんですよね。それにうまく乗ることができれば、あとは自然とやりたいようにやるだけ、という感じです。

―普通は皆、緊張するんですけどね。僕は初出場の際、不安でなかなか手が進まなくて苦労しました。でも、会場にいる人たちが本当に親切なんですよね。

M:「こんなに魅力的な人たちが世界中にいるのか!」というくらいで。私はとても驚きました。面識もない私に対して、「初出場なの?ようこそ!」と、とても温かく迎えて下さって。また、日本を好きでいてくれる方が本当に多い。それは先輩方が築いて下さった信頼のお陰と感謝しています。この素敵な人たちを、心から「描きたい!」。そう思えるんです。

大会の戦略は、事前にしっかりと立てるタイプですか?隣で見ていると、その場のインスピレーションでスラスラと筆を動かしていくように見えます。

M:私の場合は、まず自分の好きで得意なことを考えます。次に、私が最近見た絵で好きなものを10枚並べます。それらに共通する点を見つけて、絵の方向性を決めます。大会初日に、皆と交流しながら「描きたい」と思えるモデルを決めていきます。その人の良い所は何だろう?一番面白い部分はどこかな?と探していきます。そして、自分が気持ち良く、自然に考えられる方法を選びます。

―松岡さんらしい、独創的な作画手順ですね。松岡さんと絵の話をしていると、いつも新しい発想に出合えるのが、とても楽しいです。人と全然違う視点からモデルを見ている気がします。それと同時に、自分自身とちゃんと向き合えている。その為なのか、自分が気持ちが良いかどうか、という話をよくしますよね。

M:私が考える気持ちの良い絵というのは、「見てほしい部分がすぐ分かる」。「余計なことがない」。「飽きない」。「共感性がある」。「完成度が高い」。この5つがそろっていることです。

―たしかに…これは気持ちいい!こうした考えは教わったもの?それとも自分自身が見てきた絵がそうだったから?

M:両方です。振り返ると、自分が「気持ちよく描けたな」と感じる作品は、大体良い評価を頂けました。また、私が良いなと感じる絵は、「作者が気持ちよく描いたんだろうな」と、伝わるものが多いです。実際、気持ちよく絵を描いている人を見ると、こちらも思わず応援したくなりますよね。

―たしかに!“ニーニョ”(ホルヘ・トレアルバ)とか、すごくそんな感じですね。彼自身が一番楽しそう!実際、今大会中、ホルヘの絵を見て僕が「良いね!」と褒めたら、満面の笑顔で「僕もそう思うんだ。この絵は素敵な額に入れて家に飾るんだ!今からそれを考えるとワクワクするよ!」と言っていました。あんまり日本人には無い発想かもしれないですね。

M:そうですね!彼のような人たちの楽しい気持ちが、あの心地良い、会場の雰囲気を作っているんだと思います。より良い作品を作るためにも、まずは楽しい気持ちを持ち続けていきたいですね!

―松岡さんといえば、この話を聞かなければいけません。松岡さんは芸術の最高学府、藝大(東京芸術大学)の絵画科油画専攻出身ですよね。受験も、入学後も、大変な苦労があったと思うのですが、その話を聞かせて下さい。

M: まずは「受験」でいうと、私の高校は芸術科クラスのある高校だったのですが、田舎ということもあって他に刺激もなく、毎日ひたすらデッサンを繰り返していました。デッサンというのは「自分の認識を矯正すること」。なので、自分では完璧に描けた!と思っていても、先生には一瞬で破綻を見抜かれ、否定されて、修正させられる。これを延々と繰り返していました。たくさん描いて、たくさん見て、たくさん直す。これを3年間続けました。高校時代に学んだことは、「いかに正確に修正するか(正確な描写)」と「いかに新しいものを作るか(歴史を学ぶ)」、この2つでした。

―なぜ藝大を目指したのですか?

M:正直な理由は「東京の一番有名な美大に行ってみたい」と思ったからです。なにせ地元が田舎なもので、東京に行けば何か面白いころがあるはず!という強い憧れもありました。藝大は講義内容を調べてみたら、どこか不思議で、とても面白そうに感じました。

―実際、入学後はどうでしたか?

M:個性的な同級生に囲まれて、一線で活躍する教授の講義から学び、それはもう刺激的でユーモアに溢れていました。特に印象に残っているのが、小林正人教授の「LOVEゼミ」でした。内容はとてもシンプルで、「好きな人に、絵を描いて渡し、LOVEを伝えよう」というもの。絵を描き、梱包し、渡す。相手がどんな人であれ、そのすべての工程で「相手を想う」ことを考えなければなりません。これが意外と難しくて。それまでの私はデッサンばかりやってきて、誰かのために描くということをほとんどしてこなかったからです。私は直径30センチほどの円盤に、蛍光塗料を使って描いた月を、友人にプレゼントしました。とても悩んでしまって、うまく描けないまま提出時間が来てしまい、「要らないだろうな」と半ば恥ずかしい気持ちで渡しました。でも後日、その友人が「飾ってるよ!寝る前にちょっと光るのが癒されるんだよね」と言ってくれたんです。自分ではうまく描けなかったと思っていた絵でも、一生懸命に描いたら、受け取った人が価値を見出して喜んでくれた。これには正直驚きました。

―これはカリカチュアの原体験ですね!

M:まさに!それ以来、絵を描いて渡す時は、「自分がどう思って描いたか」だけでなく、「もらった人が飾った時にどんな気持ちになれるか」、「その結果、どんな価値が生まれるか」まで、想像するようになりました。これが一番のポイントだったわけですね。

―そんな松岡さんがカリカチュアをやってみよう!と思ったきっかけは何ですか?

M:「人と話しながら描く」ということが好きで、それを活かせる仕事を探した結果、カリカチュア・ジャパンへの入社を決めました。一人で黙々と描くのが好きな人もいると思いますが、私は小学生の頃から誰かがいる空間で絵を描くことが好きでした。絵を描いていると自然と人が集まってきたり、話しかけてくれたりする。その空気感がとても心地よかったんです。

―プロコースは苦労しましたか?

M:一番苦労したのは、新しい画材と新しい描き方に慣れることでした。当時、印象に残っていることがあります。それは公園で練習している時に描かせてもらった赤ちゃんから、お気に入りの「干し芋」をもらったことです。お母さんからもたくさんの「ありがとう」を頂きました。絵を描いて何かをもらうことが、こんなにも自分を豊かにしてくれるんだ、と最初に実感した、忘れられない経験です。

―良い話ですね!最初は皆、この絵の表現に興味を持つんだけど、次第に、「伝えたいものが伝わった時の喜び」が快感になって、その幸福の波動のようなものに満たされて、気づけば夢中になってしまう、みたいな感じになりますよね。本当につくづく思うことは、もっともっと、この絵の価値が多くの人に伝われば良いなと思います。

M:ハイ、そう思います!AIが発達する今の時代、ただ「うまく描ける」だけの価値は下がっていくと思っています。だからこそ、気持ちが良いと思えること、心から楽しいと思うこと、そして憧れの存在に、たくさん出会っていきたいと私は思います。

―最後にこれからの目標を教えて下さい。

M:目の前の目標は、世界大会の総合優勝です。そして私の後に大会に出る人たちの力になり、トップに導いてあげられる人になりたいです。その為にも、新しい世界にどんどん出て、様々な出会いを重ねながら、魅力的なアーティストであり続けたいと思っています。

―素晴らしいですね!今日はありがとうございました

M:ありがとうございました!


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◼︎松岡優香さん
プロフィール:
カリカチュア・ジャパン株式会社所属
爆笑似顔絵ソラマチ商店 店長

◼︎Instagram
https://www.instagram.com/cj_matsuoka0531/

◼︎受賞歴
・ 2025 ISCAカリカチュア世界大会
 Caricaturist of the year(総合)第4位 
 Caricature of the year(作品賞)第1位
 カラー部門第3位

・JAPAN GRANDPRIX 2025(日本大会)
 総合第2位
 ライクネス部門 第1位 / スタジオピース部門 第2位 / 誇張部門 第3位 / カラー部門 第3位 / 作品賞 第3位

・2024 ISCAカリカチュア世界大会
 Caricaturist of the year(総合)第4位 
 Caricature of the year(作品賞)第6位
 new comer’s award (新人賞)受賞

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Member Interview」の過去記事はこちらからご覧いただけます。
https://nigaoe-artist.com/category/member-interview/

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