Member Interview vol.12
『ろーにーさん』
(聞き手・Kage)
全国各地で活躍する、
日本似顔絵アーティスト協会の皆様の、
多種多様な考えや働き方をご紹介する、
Member Interview。
第12回はろーにーさんに、ご登場頂きました!
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―(Kage)KOSCA韓国大会に参加中のろーにーさんにご登場頂きました。
お忙しい中、ありがとうございます。実は以前から、ろーにーさんのインタビューを何度か試みていたのですが、予定がなかなか合わずに、流れ流れて韓国・釜山で実現しました(笑)。本日はよろしくお願い致します。
(ろーにーさん)よろしくお願いします。
―まずは似顔絵を始めたきっかけから教えて下さい。
似顔絵は小学校の頃から好きで、先生の顔を落書きしたりしていました。
プロになるきっかけは大学入学時、授業中に描いた先生の似顔絵を先生自身に見せに行ったら、似顔絵を描ける人を探していると言われて、イベント出てくれない?と誘われました。
どうしようと少し困っていた時に、別のイベントでCH2.3.さんと、出会うきっかけがありました。私は普段描く側でしたが、この時初めて描いてもらいました。そこで自分も絵を描く話をしたら、来週のイベントに見学においでと言われて、その時、行ってみようかな、という気持ちになったんです。
今思えば、あれが分かれ道でした。
当日『見学』と言われていたのですが、「ちょっと隣で描いてみなよ」と言われて。描いたら「いいじゃん!」と言われて。お客様に渡そう!となって。結局、CH2.3.さんの隣で1日描きました。
そしたら「来月イベントがあるからよろしく」と言われて、研修もなく、そのままイベントに出るようになりました。
―研修もなく、いきなり現場で描かせるCH2.3.さんの懐の深さもすごいなぁ〜。
どれくらい前の話ですか?
8年前です。
―ということはキャリアも8年?
そんなにやってるんですね!
19歳からやってます。
―当時、富山に絵描きはいたのですか?
いたと思いますが、人手はあんまりないと聞いていました。
―今はどんなお仕事をされているのですか?
今は、名古屋に引っ越しまして、似顔絵工房で働いています。平日は現場に出て、土日はイベントがあればイベントへ。ない週は現場に出ています。現場はジャズドリーム長島、イオンモール大高、エアポートウォーク名古屋です。
―イベントというのは、どんなことをやっているのですか?
アピタやイオンなどの感謝祭で似顔絵をプレゼントするイベントが多いです。。あとはブライダルアートや、住宅展示場のイベントと、最近は、似顔絵の他に、キッズイベントや、山中裕貴也さんのショーなんかも、お手伝いしています。
―一番好きなものとかありますか?
ゆきやさんのショーの、背景を担当させてもらっているのですが、クリスマスショーだったら、雪の被ったお家を画用紙に描いて、切って、貼ったりとか、工作のような作業がとても楽しいです。あと、アイディアを出すことも好きなので、ショーの打ち合わせに参加するのも楽しみです!
―僕は個人的にろーにーさんの独特なタッチが大好きで、以前描いてもらった僕と宮城康助の絵は、大切に社長室に収めています!あのタッチはどうやって出来たのですか?
もともとお母さんがお菓子のパッケージのデザイナーをしていまして、大学時代から可愛い動物や、キャラクターのイラストを頼まれて描いていました。授業中とかでもメールが来て、急ぎの絵を頼まれたりして結構反抗したりしていました(笑)。
あと、絵で影響を受けたアーティストは、風刺画家のジョルジュ・ビゴーや、昔読んでいた雑誌の漫画家で、じょうさゆり先生にも憧れていました。芸能人の似顔絵漫画を描いていた方なのですが、崩した表情でも似せながらストーリーにしているところを、尊敬してました!
業界に入ってからは、高木さんの絵や、ぶんころさんのキャラクター性のあるイラストに影響を受けました。似顔絵を始めた頃にCHさんに、「上手くなりたい!」と話したら、色々な人の作品を見せてくれたんです。もちろん自分でも色々ネットで検索したりしていたのですが、そうしたなかで、高木さんの全身を描いた作品を見つけました。
自分が小さい頃から憧れていた「動きのある似顔絵」とも重なって「こういうの、いいなぁ…」、「こういうの描きたいなぁ…」と、思いました。
リアルと違う、かわいさを含んだ表情やポーズって、絵だからこそできるものじゃないかなって思うので、そこを大事にしています。
―あのマンガのようなストーリー仕立ても、私は大好きなんですよ。
マンガ、もともと好きで、高校までは、漫画家になりたいって思ってました!
小学校のころから、クラスの友達をキャラクター化して漫画を描いたり、少女漫画を描いたり…してました。。授業中に先生や友達の似顔絵を一コマ漫画みたいにシチュエーションをつけて描くことが一番多かったです。ただ描くより、吹き出しつけたり、ポーズをつけたりして、動きのある表現で描くのが好きでした。
友達に見せたときとか、「こういうポーズ、よくするよね〜!」とか、「こんなことしてそう!」っていって、めっちゃ笑ってくれるのがすごく嬉しくて楽しくて。
似顔絵って、その人を知ってるからこそ笑える部分ってあるじゃないですか。普段なら、その時だけの会話とか思い出も、イラストで描くと残るし、写真じゃ表現しきれないものとか、現実じゃできない服装、ポーズも、イラストだと叶えられる部分って、結構あるんじゃないかなって。
キャラクターっぽく描くことで、生々しくならないし、可愛く表現できるし、動きなんかをちょっとオーバーに表現すると、笑いにもなったり。そういう面白楽しいのがすきなので、似顔絵師になった今も、その楽しさを融合して描けたらな〜と思って描いてます。
それでも、似てないと、面白さって伝わらないと思うので、ライクネスは絶対に落とさないようにしています。
―なるほど~。
マンガ、パッケージデザイン、似顔絵と、ろーにーさんのお話しを聞くと、あの独特な作風の理解度が増しますね。
ろーにーさんの絵は一枚一枚に、面白いアイデアやストーリーがあって、でもそれを説明しすぎてなくて、それぞれが勝手に解釈して楽しめる、自由があるんですよね。
一番は楽しんでみてもらいたいんです。
マンガや挿絵のような楽しみ方というか、想像が膨らむような絵にしたいです。かっこいい絵とか、おしゃれな絵って、すごく魅力的で、あんなの描けたら気持ちいいだろうな〜〜って、描ける人を羨ましく思いますし、独自のタッチを持っている作家さんには、とても憧れます。
他の作家さんのように、自分にはそこまで画力も技術ないので、自分だけしかできない表現はどんなものだろうって、いつも考えています。昔の私はすごくマネッこで、友達の絵で気に入った部分があれば、そこを取り入れたりなんかして「金魚の糞」と呼ばれたこともあるのですが、すごく嫌だったので…もう真似はしたくない!だれも描けない、オリジナルの画風や表現をしていきたい!っていう思いが強いです。
それでも良いなと思うものは盗んでますが!笑 バレないように必死です!笑 ゆるさがあって、「じわじわくるな〜」とか、面白いっていって楽しんでもらえる…手の届かないアイドルじゃなくて、会いに行けるアイドルみたいな、見る人との距離が近い作品を描きたいです!
―あの徹底された独自性は、そういう強い意志に基づいて出来ているものだったんですね。あれだけ豊富で楽しいアイデアを生み出す秘訣ってありますか?
相手のことをよく考えること…ですかね…。
どんな人かな。この人こんな感じかな、こんなことしてそうだな、みたいな。でも、人格無視なことも多々あるので、もっと向き合わないとなぁと反省もしますが!笑
以前、名古屋で行われた勉強会で、さつさんがセミナーで話してくれた話がとても衝撃でした。付き合ってこれくらいのカップルは、こう描くと喜ばれるなとか、結婚歴の長いご夫婦の場合、くれくらい笑いを入れてもいいかなとか。
あの短時間で、こんなに色々なことを考えて描いてるってスゴイなと感心しました。
―この仕事で印象的だったこととか、嬉しかったこととありましたか?
そうですね…似顔絵だから当たり前なんですけど、「似てる!」って言って笑ってもらえる瞬間が、やっぱり嬉しいです。これまで描いてもらった似顔絵の中で一番似てる!って言われたときに、とくにやりがいを感じます。SNSをサーフィンしてて、自分が描いた似顔絵がアイコンになってるのをみつけたときとかも、ニヤッとします。
最近だと、描いてもらった作品とか、みんなSNSで紹介するじゃないですか? そんな自分の作品についての記事をみつけて、そこにコメントとかいいね! とか、反響があるのを見たときが、似顔絵をやってて、一番幸せを感じている瞬間かもしれません。笑
こっそりニヤニヤしてます。笑
―では最後に。
ろーにーさんがこの仕事で、叶えたい夢はありますか?
(長い沈黙)
…夢というか、希望というか、、、
やっぱり、より似た似顔絵を描いていきたいことと、オリジナルの似顔絵グッズを提案して、売り出したいです!
あと、挿絵っぽさを生かせる仕事にも興味がありますし、今働いている似顔絵工房では、自分だけのブランド商品をもっている作家さんもいるので、私も自分にしか描けないものと、自分が描く似顔絵を生かせる仕事を見つけたいなぁって思います。
―ろーにーさん、私自身も今回のインタビューはすごく感銘を受けました。
今日は大会中の忙しい中、念願のインタビューにご協力頂きまして、本当に有難うございました。大会、ご活躍ください!
こちらこそ!
ありがとうございました!
【プロフィール】
ろーにー
似顔絵を、おもしろ可愛く描くのが得意。
現在、株式会社ARTのスタッフとして、ウェルカムボードの制作、ブライダルアート(早描き)、出張似顔絵、子ども向けのお絵かき・工作教室も行なっている。
[受賞歴]
富山大学芸術文化学部卒業/
2014 ISCAミニコン 審査員特別賞/ユーモア部門2位/
2015 JAPAN GRANDPRIX 総合9位/ユーモア部門1位/
2016 竜王賞 総合6位、洒落賞、S1大賞 佳作/
2017 JAPAN GRANDPRIX 総合7位/ユーモア部門1位/
2018 KOSCA excellent idea賞