NPO法人 日本似顔絵アーティスト協会

Member Interview vol.11


Member Interview vol.11
『空翔太さん』
(聞き手・Kage)

全国各地で活躍する、
日本似顔絵アーティスト協会の皆様の、
多種多様な考えや働き方をご紹介する、
Member Interview。

今回は、空翔太さんにご登場頂きました。

 

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―空さん、こんにちは。いつもコンテスト等、積極的に参加して頂き、ありがとうございます。今日はよろしくお願いします。
まずは似顔絵を始めたきっかけから教えて下さい。

もともと僕はキコリをしたり、材木屋で働いたり、車の工場で働いたり、仕事は遊ぶためのお金を稼ぐもの、程度にしか考えていませんでした。
当時の僕の生き甲斐は「役者」でした。ちなみに役者は3年やりましたが、役者でお金を稼ぐという感覚は、全くありませんでした。
そんな時、カリカチュアジャパンがテレビで取り上げられているのを、たまたま友達が見て教えてくれました。もともと絵も大好きだったので、ネットで調べてすぐに、プロ養成コースに申し込みました。

 

―プロ養成コースはどうでしたか?

その頃、僕は広島の江田島という島で暮らしていましたので、船に乗ってまず市内に出て、市内からは新幹線で東京に向かう。毎週、片道6時間かけて通いました。授業後は終電が間に合わないので、上野の安いカプセルホテルに宿泊して、朝帰りました。
授業を受けてみて思ったことは、来るところを間違えたと思いました(笑)
全然上手くならないし、宿題は多いし、なんでわざわざこんな描き辛いペンを使うんだ、と思っていました(笑)

 

―宿題は多かったですか?

多いですよ。
毎週下描きを100人分提出して、ガチでクリティ―クされる。気の抜いた絵は一枚も出せません(笑) ライブスケッチの宿題では外に出て何十枚描いて提出しなければならない。これも最初は勇気が要りました。

 

―その甲斐あって、晴れて入社となりました。

いや。入社に至るまでも僕らしいエピソードがありました。
Kageさんは落とそうとしたんですが、さつさんがKageさんを説得してくれて、何とか残ることが出来ました!(笑)
3カ月間の試用期間付、「仮入社」での合格でした(笑) 同期の皆で合格したら、焼肉に行こうと約束をしていて、皆で焼肉に行ったのですが、僕だけ複雑な気持ちで乾杯してました(笑)

 

―それ面白すぎますね(笑)
今では信じられないです。

いや、でもあの頃は描きながら話すことが全然出来なかったですし、絵もなかなか伸びなかったので、自分でも厳しいと思っていました。

 

―そんな空さんが今、どんなお仕事をしているのかというと…

はい。今はそのプロ養成コースの講師がメインの仕事です。
その他、京都校で行われる、一般教室も体験教室も出張教室も、すべて僕がやらせてもらっています。カリカチュアジャパンは、プロコースから採用された新人は店舗営業や本社業務を手伝いながら、更に2か月間の技術研修があります。これも僕が担当しています。
あと店舗も週3回は出ています。

 

―素晴らしいなぁ。すごい努力だよね。
スクールの講師をやっていて、印象的だったことがあれば、教えて下さい。

 

あります。
福本君という20歳の男のコがいます。これまで講師をしてきて、たくさんの優秀なコを見てきましたが、僕がいうのもなんですが、福本君はすごく不器用なコでした。
コミュニケーションもとても苦手で、会話もまともにできないし、絵の上達にも時間がかかりました。福本君は一度不採用になったのですが、その後もう一度挑戦してくれて、二回目のプロコースで優秀な成績を収めてくれて入社しました。
福本君を指導をしている時は、まさに過去の自分を振り返るような、そんな気持ちでした。
僕が講師としてやるべきことは、器用でなくても、才能に恵まれなくとも、好きなことを一生懸命頑張ることで、誰しもが成し遂げることができるということを、僕自身が体現して、そして多くの人に伝えていくことです。

 

―素敵な話ですね。僕自身も全く同じ気持ちかもしれません。
そんな空さんは作品作りもストイックですが、ご自身の作風というのは、どんなイメージで描いていますか?

 

リアルを追及しています。写真よりも迫力のある絵にしたい、と考えています。

 

―具体的に言うと?

写真より陰影のコントラスを強くします。
彩度を上げて塗ったり、特徴的な所をしっかり塗って、他の部分をぼやかせたりして、見せたいところを強調します。こうすることで迫力は増すし、浮き出るような立体感も生まれます。

 

―確かにそう言われると、空さんの作品はコントラストが強いですね。
そうしてこの迫力が出てるわけですね。
これまで特に影響を受けたアーティストはいますか?

 

一番は、本間雄太さんです。本間さんは同じ会社で、身近ということもあり、
僕にとっては道標でした。自分の描きたい絵のお手本でした。
もう誰の絵も見ずに、本間さんの絵だけをずっと見てました。仕事が終わって家に帰ったら、本間さんの絵の目や鼻や口など、ずっと寝るまで描いていました。また本間さんが描いている手元を動画で撮影をして、ペンの持ち方や手癖なども全て盗みました(笑)
お陰で当時は、本間さんの絵に似てるとよく言われました。

 

―今は空さん独自の作風に見えますね。

あのままだと本間さん2号になってしまうので、自分らしさを出すために、
最近はあえて見ないようにしています。今は海外でいうとAndre carrilhoさんや、
日本だと高木さんやmikiさん等、デザイン性の高い作品をよく見ています。

 

―この仕事をしていて、印象的だった事はありますか?

今までの仕事ではここまで喜ばれることはありませんでした。ましてや、泣かれる程喜ばれるなんて全くなかったので、本当に衝撃でした。
ある日の現場で起きたことです。
大病を患っているおばちゃんと家族を、絵にしてほしいとお孫さん達からご注文を頂きました。自分の絵をじっと見て泣いていらっしゃる様子は、掛け値なしに感激しました。

 

―そんな空さんは、どんな夢を持っていますか?

一番は、ISCAで優勝することです。
一番になることによって、講師としても説得力が出るし、自分の作品にも自信が持てます。今まで何かに真剣に打ち込んで、一番になったこともないので、一生懸命に頑張って結果を残したいです。
あとはどこかに自分の絵に自信があるんだと思います。それを証明したいし、だから負けたら悔しいしです。

 

―空さんは普段から、それだけの作品を制作していますし、数もクオリティもかける時間も、やりきっていますよね。
最後になりますが、この協会に期待することがありましたら教えて下さい。

僕は日本大会に出場するまでは、カリカチュアジャパンしか知らなかったので、色んな人たちの技術を見ることができて、とても勉強になりました。
欲を言えば年に一度大会をしてほしい。もしそれが無理なのであれば、年に一度展示会をしてほしいです。

―実は展覧会をやりたいという考えは、役員の中でも出ているんです。

ホントですか? それはすごく嬉しいです。描き手としてもやる気になるし、個人的にもすごく見に行きたいです。

 

―空さん、今日は忙しいところ、ありがとうございました。

こちらこそ!ありがとうございました!

 

【プロフィール】

空翔太(そら・しょうた)

広島県出身。
25歳で未経験からプロを目指してカリカチュアジャパンプロ養成コースに参加し、入社。社内コンテストで18回の受賞歴を誇る、カリカチュアジャパンを代表するアーティストの1人。現在は京都校にて、一般教室、初心者体験教室、プロ養成コース講師として活動。

2014年 ISCA世界大会出場
2015年 ISCA世界大会出場
2015年 Japan Grandprix 総合8位/作品賞2位
2016年 Japan Grandprix 総合9位