Member Interview vol.20
『kotoさん』
(聞き手:Kage)
全国各地で活躍する
日本全国の似顔絵アーティスト協会の皆様の
多種多様な考えや働き方をご紹介する、
Member Interview。
今回は、独自のソックリ人形で今年、日本大会そしてISCA世界大会で数々の賞を獲得した新進気鋭のアーティスト・kotoさんにご登場頂きました。
―(Kage)まずはタイムリーな話題から。
ISCA世界大会Outstanding 3D Technique部門第2位、おめでとうございます!
kotoさん(以下k):ありがとうございます!本当にラッキーでした!
自分のテーブルに来てくれた方たちが私のポートフォリオを見てくれてたくさん交流ができて…そういった方たちが「頑張ったね!」というような、応援の意味の票を頂けた気がします。作品力だけだったら厳しかったです。
―そんなことはないですよ。でも、スゴイなぁと僕が関心したのは、
kotoさんはご自身のテーブルに自身のソックリ人形を置いて、
ポートフォリオを置いて「Feel Free to Look」みたいなサインを出して、
言葉の壁を乗り越えて皆とコミュニケーションを取ろうとしていました。
自らアピールして人を引き込んでいたと思います。素晴らしい努力です。
k: (そのようなところまで見て頂けて…) ありがとうございます!
―今回、ISCAに参加しようと思った理由を教えて下さい。
k:意識したのは3年前でした。ちょうどその頃から立体物を創るようになって、米国の大会には3D部門があると聞いて参加してみたいと思っていました。
ところがコロナがきてしまって。コロナが明けた2022年は参加出来なかったので、今年こそは!と思っていました。
―参加してみてどうしでたか?
k:すごい楽しかったです!そしてすごかったです!
一流アーティストたちの素晴らしい作品を見て、注目のアーティスト作品に人が群がる様子を見て、オークションで高値で絵が売られているのを見て、似顔絵師はアーティストなんだ!と胸を張って良いんだと思いました。
―競技はいかがでしたか?
k: 正直睡眠もちょっとしかとれなかったのですが、でもとにかく楽しかったです!
難しかったのは時間配分でした。5体作るという無謀なチャレンジをしたので、3,2,1、0までドタバタと作っていました。
でも、まぁクオリティ的には反省がいっぱいで、納得いく仕上がりには至りませんでした。それでも作品と向き合える時間がとても幸せでした。
それと現地の皆がとってもあったかくて。私の中学生以下の英語や身振り手振りをちゃんと読み取って下さって。
―kotoさん、セミナーも全部出てましたよね。僕、あれは本当に尊敬しました。
k: 英語わからないのに出てました(笑)。もう行く以上は全部経験する!と決めていました。ただ、それを見越して時間配分をするべきでした(笑)。
―大会会場でのkotoさんの皆とのコミュニケーションは一番でしたね。
誤解されがちですが大会というのは競技だけじゃないんですよ。
あのコミュニティがとても温かくて、
そしてお互いに学び合い、競い合い、高め合う場なんです。
だからコミュニケーションがなければその本質に触れることが出来ないんですよね。
大会を競技だけのものにしてしまったら、ハッキリ言って価値は半分なんです。
k:Kageさんの仰って頂いた通りでした。本当にあったかい人たちの集まりでした。
―そもそもkotoさんが似顔絵を始めたきっかけは何だったんですか?
k: 子供を産んでからしばらくは仕事を休んでいました。
少し大きくなってきたからパートでも始めようかなと思っていた時、絵が描けるんだったらイベントで似顔絵を描いてみない?と誘われて、面白そうだなと思って引き受けたのですが、
これがいざ対面で描いてみたら時間はかかるし似ないし…
これではお金は頂けない。きちんと勉強しないと。
そう思って検索して、カリカチュアジャパンのプロ養成コースを受講させて頂きました。
―ウチのプロコースは大変だったでしょう。どうでした?
K:はい。大変でしたがすごくハマってしまいました。
先生の技術を学ぶために店舗に行ってお客様となって描いてもらったりもしました。なんでこんなに似るんだろうと、その技術に魅了されてしまいました。
プロコースの受講は、私の人生のターニングポイントになりました。
―現在はどのようなお仕事をされているのですか?
k: 住宅展示場だったりイベントに出店したり、またオーダーを受けて似顔絵や人形を作ったりしています。
―人形を作る技術はもともとあったのですか?
k: 当初は自己流で作っていました。でもやっているウチにもっと突き詰めたいと思うようになって、ぬいぐるみ作りをしている先生の元へ行って、勉強しました。
私の考えですが、やはりきちんとプロに教わることが何事も重要です。
―もともとそういったお仕事だったんですか?
k: 服飾関係です。子供服のデザイナーをしていました。
私、本当は誇張の絵が大好きなんです。最初の頃はカリカチュアジャパンで学んだ技術で誇張似顔絵を描いていたんですけど、色々思うところがありました。
まず、私が描くお客様はお母さんたちが多かったんです。その方々に求められる絵は柔らかくて可愛らしいものでした。自分が好きなものと求められるものって、違いがあるんだなと気づきました。求められる似顔絵も追求しないとな、と。
それとカリカチュアジャパンで学んだ技術の絵は、カリカチュアジャパンのお店に行った方が私より間違いなく良いものが得られます。ならば、私にしか出来ない表現を見つけなければならないと思ったんです。これには5年間、葛藤しました。(現在進行形でもあります。)
そんな時、ちょうどコロナでイベントがすべて無くなり、時間が出来た時、たまたま人形を創ってインスタに上げてみたら、似顔絵より反響があったんです。
その時にこれだ!って思いました。
―素晴らしい発見!というかピンチにチャンスを見つけたんですね。スゴイ!
でも人形は一体作るのに結構時間かかるでしょう?
k: 物によります。平べったい物なら5時間くらい。立体的だと2,3日はかかります。
―kotoさんは今年、韓国の似顔絵協会「KOSCA」にもゲストで招かれて、ワークショップをやっていらっしゃいましたね!
k: 韓国のアーティストさん達もとっても温かくて素敵な人たちの集まりでした。
皆さんは本当に一致団結力されていて、まるで家族のように見えました。
とても和やかで笑いの絶えないワークショップが出来ました。一気に韓国のことが
好きになりました!
―ワークショップはどんな内容なんですか?
k: 私が事前に裸の人形を作って持っていきます。これにそれぞれの目鼻やヘアスタイル、服のパーツを切って貼るだけなんです。これならば子供でも出来ます。韓国のアーティストさんたち皆さんさすがの技術で、すごいクオリティの作品がたくさん出来上がっていました。
―どういうきっかけで呼ばれることになったんですか?
k: 私が人形制作に対する想いやそれを伝えるワークショップをやっていきたい!という夢をInstagramのリール動画に上げたんです。
それを見た代表のリュルさんがすぐにメッセージをくれて、「韓国でやってみませんか?」って誘ってくれました。
こうした発信をちゃんと見てくれているという所が、韓国のアーティストの方々は本当に研究熱心だなぁと思いました。
―夢を発信して、チャンスを掴んで、韓国でのワークショップを実現させたんですね。頭が下がるなぁ。素晴らしい!
―kotoさん、まだお子さんも小さいでしょう。制作や発信の時間は
どうやって作っていますか?kotoさんの時間術を教えて下さい。
k: 正直…家事はほどほどでして(笑)、創作活動の時間を捻出しています。
勿論、旦那さんの協力があってのことで。最初は似顔絵なんて、、という感じもあったんですけど、ずっと一生懸命やっているのを見て、真剣にやっていることが伝わったのか、今は応援してくれています。感謝ですね。
―お子さんも人形を作ったり絵を描いたりしますか?
K:します!します!アメリカから帰って、今度一緒に行く?と聞いたら「行く!」って返事が返ってきました!
―お子様にとっても、親が好きなことを一生懸命に取り組む姿を見たら、
絶対に感じるものがあるでしょうね。来年はフロリダですし楽しいですよ。
k: いやぁ、来年の子連れ参加出場は…どうかなぁ…(笑)。
―kotoさんは今年、日本大会で受賞。海外でワークショップ。世界大会でも受賞。
着実に階段を上がっていった、まさに人生を変えた1年間でしたね。
k: 娯楽(旅、お酒、音楽)に興味がない人間が、似顔絵と出会って人生が変わりました。
海外に行くなんて「怖い!」と思っていたけど、似顔絵の大会があるのであれば、
行ってみたい!と思いました。似顔絵が自分の人生を変えてくれました。
―良い話だなぁ…。最後に、今後の目標などあればお聞かせ下さい。
k: お人形のワークショップをたくさんの人に体験してほしいんです。
作る喜びや送る喜びを広めていきたいので、これに挑戦していきたいです。
―kotoさん、今日はありがとうございました!
k: ありがとうございました!
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◆受賞歴
2023年ISCA世界大会/Outstanding 3D Technique部門第2位
2022年JAPAN GRANDPRIX/作品賞第2位
◆ホームページ
https://www.instagram.com/koto_nigaoebin/
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「Member Interview」の過去記事はこちらからご覧いただけます。
https://nigaoe-artist.com/category/member-interview/