Member Interview vol.7
『さえきけんすけさん』
(聞き手・Kage)
全国各地で活躍する、
日本似顔絵アーティスト協会の皆様の、
多種多様な考えや働き方をご紹介する、
Member Interview。
第7回はさえきけんすけさんに、ご登場頂きました!
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―さえきさん、今日はよろしくお願いします。
私の中でさえきさんといえば、2013年のISCA世界大会の印象がとても強いです。創作に完全に没頭していて、周囲を寄せ付けない程の集中力で、描いていた姿が忘れられません。
今は肩の力を抜いて描けるようになったのですが。昔は試行錯誤の繰り返しで。。。
ラフを描いて、描いて、描いて、もっといける、もっといけるって、数ミリの作業に集中していた気がします。
―でもあの時は受賞も総ナメでしたよね。
いくつ取りましたっけ?
あの時は3つ頂きました。「ゲスト・オブ・オーナー賞」と「新人賞」、「カートゥーン部門」の3位を頂きました。作画時間は4日間ありましたので、僕にとってはちょうど良い長さでした。
―描いてもらいたくて、さえきさんの前を行ったり来たりしてました(笑)
そうなんですか。全然気がつきませんでした(笑)
―肩の力が抜けるようになったのは、何がきっかけだったのですか?
宮城君とおかやま君の存在です。勉強会で知り合って以来、僕から声をかけさせてもらって、今では毎月、練習会をやっています。2人はスッと作品を出すんです。作品に臨む姿勢は昔と変わらないけど、もっと気楽に描こうと思えるようになって、無駄な力が抜けた気がします。
―分かるなぁ。
僕も大抵失敗する時は力が入り過ぎて、全体のバランスを見失ってしまったり、
オーバーワークになってしまうことが多いです。
僕もめっちゃ分かります。僕もまったく同じです。でも、だから勉強会って、必要なんだと思います。人と描いていないと分からないと思います。とはいえ勉強会に行くと、相変わらず集中しちゃうんですけど(笑)
―そもそもさえきさんは、いつ似顔絵を始めたのですか?
もともと大学時代、サークルの送別会でよくアルバムに似顔絵を描いていました。これを覚えてくれていたある先輩が、ブライダル関係の仕事に就いて、ウェルカムボードを依頼してくれました。これがきっかけです。
―独学だったんですか?
色々ネットで調べたりしながら、独学でやってました。
―現場で描くようになったのは、いつ頃ですか?
似顔絵を描き始めて2年後の2009年から始めました。当時、時間に対する不安が大きくて、数年間迷走期がありました。時間を克服する為に色々な画材を試してみたりもしたけど、所詮付け焼刃で、結局コピックに戻しました。
―「時間」は皆の課題だと思います。克服する上で効果的だった練習方法はありましたか?
ひたすら描くしかありませんでした。芸能人の似顔絵を描きまくりました。これはサンプルにも使えましたが、色んな顔をひたすら描くことで、色んなパーツのレパートリーが増えました。また下描きの際に線を一本ずつ減らすなど、小さな改善の積み重ねによって、克服しました。
―色んな顔を描いて、パーツにレパートリーが増えると、特徴の判断の意思決定が早くなって、迷いがなくなりますよね。
さえきさんは今はどこで、どのような仕事をしているのですか?
基本はユニバーサルスタジオとHEP、イオンやららぽーとなどの現場で描いています。
あとはイベントや受注制作も行っています。
―さえきさんのインスタを見ていると、表現のバリエーションがとても豊かで、毎回楽しんで見させて頂いています。ご自身の中で似顔絵を描く際に、意識していることや、目指しているものなど、教えて頂けますか?
まず似ていることは大前提なので、そこだけはしっかりと押さえておきたいです。作風に関しては、あまりこういう感じでいこうというのは薄いです。今のところは、キャラクターっぽく簡略化させて、シンプルに表現することを考えています。作風は今もずっと探しています。死ぬまでそうする気がします。
―影響を受けたアーティストなどいますか?
似顔絵を面白いと思ったきっかけは、子供の頃に読んでいた「やったねラモズ君」の、樫本学ヴ先生です。あの人の描くJリーガーになぞらえたキャラクターの絵柄が好きでした。
―この仕事をしていて、やり甲斐を感じることはいつですか?
やっぱり絵を出した時の、お客様のリアクションが直に見られる事です。
ある日、亡くなったワンちゃんを写真から描きました。その絵を見せた時、お客様が泣いてくれたんです。その涙を見た時、やっていて良かった。また頑張ろう、って思えます。
―将来の夢などありますか?
小っちゃい頃、絵を描いて生きていきたいと思っていました。今が割と当時の夢に近いと思えます。これからは似顔絵に限らず、今までやったことのない仕事をしてみたいです。
―最後に協会に期待することなど、ありましたら教えて下さい。
全体の底上げになるような活動に期待したいです。僕も含めて皆がもっと上手くなれたら楽しい、と思います。仕事は自分でやるしかないけど、皆の技術が上がれば、もっと認められる気がします。似顔絵師は、漫画家くらい尊敬される仕事になれると思います。
―夢のある話ですねェ。
さえきさん、今日はどうもありがとうございました。
【プロフィール】
さえきけんすけ
1984年 大阪府岸和田生まれ。
2007年 大阪芸術大学環境デザイン学科卒業
同年 似顔絵ウェルカムボードの受注を始める
2009年 べスカンパニーに所属。
「ユニバーサルスタジオジャパン」にて似顔絵の席描き活動を開始。その他、関西のショッピングモールやイベント会場などで活動
2013年 ISCAミニコンin韓国 作品賞5位
2013年 ISCA世界大会 新人賞/ゲストスピーカー賞/カートゥン部門3位
2014年 ISCAミニコンin名古屋 デザイン部門2位/スタジオ作品部門優勝
2017年 Japan Grand Prix ライブスケッチ部門3位
<さえきけんすけのオエカキ工場>
https://www.nigaoe-illustrater-saekikensuke.com